障害年金の受給要件、いまさら聞けない「必須条件」について

障害年金の受給要件 障害年金
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障害年金は年齢に関係なく所定の障害と認められたら受給できる年金です。

しかし、誰でも対象になるわけではなく、いくつかの受給要件を満たしていることが条件になります。

では、さっそくチェックしていきましょう。

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障害年金の受給要件(必須要件)

障害年金は大切な年金から支給するため、国民年金・厚生年金などの納付実績も関係します。
※障害者手帳と障害年金には関係性がありません。障害者手帳の申請・手続きはお近くの福祉事務所へ

年金保険料納付要件

初診月の前々月から1年間
初診日の前日(初診月)の前々月から逆算して1年間(12ヶ月)の間に未納がないこと。仮に未納月があっても、その月の年金保険料を「免除」されている場合には問題ありません。

20歳から2/3納付をしている
国民年金または厚生年金の納付期間が年金手帳に記載されている交付日(20歳の誕生日の前日)の翌日(誕生日)を起算日として初診日までの期間のうちで年金保険料を納めた、または免除された納付月が2/3あること。

20歳以前の発症
年金加入が義務付けられる年齢に達していないため、障害年金の受給資格の要件に納付実績は含みません。

以上の3つの条件に満たない場合、重度の障害があっても障害年金の受給対象になりません。

年金保険料の納付実績は年金事務所でチェック!

居住地の年金事務所で初診月の前々月から1年間の加入状況と納付状況は電話でも確認が可能です。20歳~2/3の年金納付に状況を確認する必要があると時間がかかるため窓口相談になります。

ねんきん定期便の年金ダイヤルに電話をしても正確な納付状況は調べられません。

関連して
障害年金の申請窓口は居住地の年金事務所になります。

免除と未納では全然違います。

免除は納付と同等扱い
年金保険料を納められない理由を「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」に書いて郵送した結果として「国民年金保険料免除・納付猶予申請承認通知書」が届き、全額免除になっているなら「免除」で納付と同等の扱いになります。

申請なしは無条件で未納
免除されていない加入者が年金保険料を納めていない場合は無条件で「未納」扱いとなります。

未納があったら障害年金はもらえない?
免除申請をせずに納入していない、または申請したが承認されていない場合には年金保険料を納めていない「未納」となります。

年金保険料は10年間さかのぼって納付する「追納」制度があります。

しかし、障害年金の受給資格の条件を満たすために追納しても受給対象となりません。つまり、年金を払えるのに納めてこなかった悪質な未納者の場合「年金の追納をしても障害年金受給資格を与えない」ということです。

ですが、追納できるのであれば以後の年金保険料をきちんと納めておけば今後の老齢基礎年金に反映されます。

また、経済的理由などで納めることができない状況なら免除申請を行っておきましょう。

障害の状態や症状に関する条件

年金受給は当然のこと身体・精神の障害の種類や程度を医学的に満たしている必要があります。

障害の種類と障害等級基準

障害年金では大きく障害の種類を18分類しています。

視覚 聴覚 鼻腔機能 平衡機能
そしゃく
嚥下機能
音声又は言語機能 肢体の障害
上肢/下肢
体幹・脊柱/肢体の機能
神経系統
呼吸器疾患 心疾患 腎疾患 肝疾患
血液
造血器疾患
代謝疾患 悪性新生物 高血圧症
精神 その他の障害

障害の状態と程度(等級)については国民年金法施行令別表、厚生年金保険法施行令別表で定められています

障害年金の受給要件(障害等級)
出典:日本年金機構(平成31年度/障害年金ガイドより)

障害等級認定基準を抜粋、要約した上記の等級表だけでは抽象的な表現もあって想像しにくいですよね。

実際には障害の種類ごとに状態と等級の判定基準をもう少し詳しく解説しています。

例えば、下肢の障害
下肢の障害は「肢体の障害」に属し、その下肢の障害の認定要領を「機能障害」「欠損障害」「変形障害」「短縮障害」に区分し、直接的な関節の可動域や筋力の状態のほか、屋内や屋外を歩く・片足で立つ、立ち上がる・階段の上り下りなどの日常生活で必要な動作まで言及しています。

医学的な知識が無くても、日常の生活で必要な動作の範囲などは理解できると思いますが、それ以外は医療用語と法令特有の難しい専門用語と書き方で完全に読解し、理解するには時間と勉強が必要です。

日本年金機構ホームページ
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(第1章/第7節「肢体の障害」の第2「下肢の障害」)
「下肢の障害」の認定要領PDF

精神障害に関する障害の程度、状態の判定は厚生労働省の「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づき、平成28年9月1日から実施されています。
精神の障害に係る等級判定PDF

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またはパソコンからご覧ください。

受給申請(請求)の時期やタイミング

障害年金の受給申請をする時期は初診日(傷病が判明した日)から原則1年6ヶ月経過した日またはそれ以前に治った日「障害認定日」以降になります。

認定日時点で所定の障害に相当する方は年金事務所で年金請求書など必要書類一式と主治医の診断書を入手して早めに申請をしましょう。

受給決定までの期間は、平均2~3ヶ月ほどで複雑なケースではそれ以上の時間を要することがあります。

障害によっては例外として移植日、装着日、投入置換日、切断・離断日などを症状が固定した・治ったとみなして障害認定日とするものがあります。

治療・処置日等を治った日(症状固定日)とみなすもの

施術 障害認定日
喉頭全摘出 喉頭全摘出日
人工骨頭、人工関節を挿入置換 挿入置換日
切断または離断による肢体の障害 切断または離断日
(障害手当金は創面治癒日)
脳血管障害による機能障害 初診日から
6ヵ月を経過した日以後
在宅酸素療法 開始日(常時使用の場合)
人工弁、心臓ペースメーカー
植え込み型除細動器(ICD)
装着日
心臓移植、人工心臓、補助人工心臓 移植日または装着日
CRT(心臓再同期医療機器)
CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)
装着日
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により
人工血管(ステントクラフトも含む)を挿入置換
挿入置換日
人工透析療法 透析開始日から起算して
3ヵ月を経過した日
人工肛門造設、尿路変更術、新膀胱造設 造設日または手術日から
6か月を経過した日
遷延性植物状態
(遷延性意識障害)
その状態に至った日から
起算して3ヵ月を経過した日以後

診断書は主治医でOK!

障害年金の申請(請求)に必要な診断書は主治医が作成したもので構いません。

障害者手帳を取得済みの方は本当に指定医ではなく「主治医」で大丈夫なのか心配になると思いますが、障がい者手帳の取得時は法令で定められた指定医の診断書・意見書を提出する必要がありました。

しかし、障害年金では自分の体の状態を一番把握されている主治医で問題ありません。ただし、うつ病や統合失調症などは精神科または心療科の医師である必要があります。

精神障害の場合
主治医に相談し、障害年金の認定基準を満たしているようなら申請書類を提出してください。

障害年金の初診日が大切な理由

初診日は認定日を確定するための起点になる日、超重要です!

その障害の原因となった病気やケガ(傷病/しょうびょう)で病院を受診した「初診日」が半年前なら支給されるのは原則1年後です。

でも、初診日が2年前で現在、所定の障害に相当しているのなら障害年金の「事後重症による請求」で申請の準備を進めることができます。

事後重症による請求は実際の障害年金を申請する方に向けた「障害年金の申請方法と承認率を高める5つのステップとポイント」内の項目【図解】いつから申請できるの?支給開始時期と請求期限でもう少し詳しくご案内しています。

初診日が不明の場合
「初診日に関する第三者の申立書」や「「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出します。

初診日に関する第三者の申立書は障害年金の申請書類(必ず提出するもの)」でも簡単にご案内していますが、文字通り初診日について第三者(親族の場合は三親等以外)によって証明するための書類があります。

初診日に加入していた年金から支給

障害の原因となった病気やケガで病院を受診した日「初診日」に国民年金に加入していたら「障害基礎年金」を受給します。

厚生年金に加入しているなら「障害厚生年金」や「障害手当金」も対象となります。仮に加入期間が国民年金よりも厚生年金の方が長くても、初診日が国民年金加入期間の場合は国民年金の障害基礎年金の受給対象です。

その逆もあります
現在は国民年金に加入していても、初診日が厚生年金の加入期間であって、さらに客観的に証明することができれば厚生年金の障害厚生年金の受給対象となります。その場合、当然ですが厚生年金1級~3級までの障害に相当していることが条件です。

整理とまとめ

  • 障害年金は年齢に関係なく所定の障害と認められれば支給される。
  • 年金保険料の納付期間に関する要件があり、初診日の月の「前々月から過去 1年間に未納が無いこと」または「20歳から2/3の納付」などの条件を満たしていない場合は受給できない。
  • 受給申請(請求)の時期は、障害の原因となった病気やケガ(傷病)で医療機関を受診した日「初診日」から原則1年6ヶ月経過した日「認定日」以後3ヶ月以内に提出できるのがベスト。
  • 障害年金は初診日に国民保険に加入していれば「障害基礎年金」厚生年金なら「障害厚生年金」を受給します。また厚生年金加入者は「障害手当」の対象にもなる。
  • 診断書の作成は指定医制度はなく、主治医で問題ありません。ただし、所定の様式を使用すること。

健康に生まれても病気や事故で体が不自由になったり、心を病んで障がい者になる可能性は誰にでもあります。

私自身、まさか難病を起因として体幹、下肢の障がい者になるとは想像もしていませんでした。

いまのところ、室内は両松葉づえで移動できますし、車いすで通勤や買い物もでき社会生活を送れているので障害年金の受給要件は満たしていても幸いなことに1・2級レベルに達していないので請求はしていません。

でも、もしものために初診日を証明するための資料や病歴、受診日の記録など準備はしています。

転ばぬ先の杖、受給要件だけでなく実際の申請(請求)時に提出する書類に記載する内容を調べておくことをおすすめします。

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