指定難病には血液系、免疫系、消化器系など大きく15の疾病区分に連なる疾病群が331疾病(令和元年、現在)。
有名な疾病ではALS(筋萎縮性側索硬化症/きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)に代表される「神経・筋疾病」
後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)、特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)などに代表される「骨・関節系疾病」
これらの「神経・筋疾病」「骨・関節系疾病」は症状が進行すると第三者の介助や介護が必要になることがあります。
こちらでは指定難病が起因で「介助・介護などの福祉サービス」が必要となった場合に39歳以下の方が活用するための障がい者手帳という選択肢をご案内します。
指定難病患者の福祉・介護サービス
どうして39歳以下なのか疑問に感じた方もいると思います。
理由は「介護保険を利用できない年齢」のためなのですが、これだけでは言葉足らず。
原則的に65歳以上の高齢者の方が対象の介護保険ですが、指定難病の患者なら「40歳から誰でも対象」になります。
あくまでも対象となるだけで要介護の判定基準に変わりはなく、申請しても受けられないこともあります。
では、本題の39歳以下、40歳未満で生活のなかでの介助や介護が必要になったらどうしたら良いのか確認します。
指定難病39歳以下(40歳未満)の選択肢
私自身が一番最初に突き当たった問題です。
指定難病医療給付制度は、難病の診療や検査、投薬、それに伴う必要な訪問看護やリハビリの費用など医療費を助成・給付する制度なので「日常生活上の介助・介護」は範囲外になります。
では、どうしたら良いのか?
身体障がい者手帳を取得するという選択です。
前項で書いたように40歳以上であれば介護保険の対象になります。
しかし、39歳以下で日常生活内の掃除や洗濯、買い物、食事や入浴などの介助・介護に関するホームヘルプサービス、ヘルパーの派遣に関する公的支援は一切ないのが現実です。
もしも、皆さんのなかに39歳以下の当事者さんやご家族がいらっしゃっれば「やっぱり無いんだね」「え!?無いのか・・・」のどちらかの反応になると思います。
指定難病の中でも神経・筋疾病、骨・関節系疾病の場合は病気によって人工呼吸器の装着、寝たきり、車椅子の生活など簡単に受け入れることのできない話をされます。
本人もご家族も心穏やかでないですよね。
そのうえ追い打ちをかけるように若年で発症したとき、行政の福祉サービスやホームヘルパーなどの在宅支援を活用するなら「障害認定」を受けて「障がい者手帳」を交付してもらう話になります。
私自身が指定難病の後縦靭帯骨化症と黄色靱帯骨化症、それに伴う脊柱管狭窄症などから現在は体幹障害で車いす生活になった中途の「身体障がい者」です。
現在は「障がい者ですか?」と聞かれたら「はい、そうです。」と答えられますからストレートに書きますが、当初は「難病が原因なのに、どうして障がい者になるの!」と思いました。
それは病気を受け入れらえないという否認とは別に「障がい者」ということへの抵抗だったと思います。
もしも、行政の福祉・介護の支援を必要としているのに「障がい者」になることに抵抗があって受け入れられないのなら考え方を改めた方が自分にも家族にも良い結果をもたらすと思います。
障がい者手帳を取得することは、将来的に難病や障害と向き合って再起しようと思えるようになったとき「障がい者であることを認める手帳」から「戦うための自立するための手帳」に変わります。
ゴミだしなどは対応していただけることがあります。※私も活用しています。
指定難病と共存していくための障がい者手帳
例えば、就活の面では企業の障害者雇用があります。
ほかには、JR・私鉄・バスなど公共交通機関、ドコモ・au・ソフトバンクなどのスマホや携帯電話そのほか民間企業の理解と協力による障害者割引、自治体によっては障害者手当などがあります。
と、焚きつけておきながら申し訳ないのですが指定難病だから別規定で障がい者手帳を取得しやすくなっている訳ではなく所定の判定基準に照らし合わせて障害の種類、障害の程度(等級)などを審査、決定します。
つまり、交付されない可能性もあります。
ちなみに障がい者手帳の申請は無料ですが、医療機関で書いてもらう「診断書・意見書」の文章作成料が必要です。
私のときは大学病院で作成し費用は、10,000円(税抜き)でした。
障がい者手帳を取得しただけではダメなんです!
気持ちの整理ができて障がい者手帳を申請、交付されたとします。
しかし、福祉サービス・ホームヘルパーを利用するためにはそれだけではダメなのです。
少し知識のある方は等級レベルの高い、1級・2級が条件なんでしょ?
そう思っているかも知れません。
それも間違っていませんが、それは電動車いすなどの障害を補うための補装具(ほそうぐ)などの場合です。
ホームヘルプ、ホームヘルパー派遣などの人的支援について手帳の等級ではなく別基準で支援の要否を決めます。
重症度の高い1級・2級が支援度も高い傾向にありますが、1級よりも2級、2級よりも3級の障がい者に対する支援度が高いと判定されることもあります。
この点については「障害者手帳の等級判定と福祉サービス利用時の障害支援区分」で手帳の等級判定の基準や決め方とともにご案内しています。
公的な福祉・ホームヘルパーが利用できない場合
障がい者手帳が交付されず、代用できる自治体独自のサービスもないときには「有料ボランティア」や「家事代行サービス」という選択になります。
私の場合、両親を早くに亡くし「ひとり暮らし」ですから障がい者手帳を取得した今でも実際に活用しています。
住民参加型の有料ボランティア
私の住んでいる自治体ではシルバー人材センターのような市民による市民のための格安な有料ボランティア団体を「在宅福祉サービス団体」として福祉部の支援課でまとめていました。
障がい者手帳を取得する前でしたが、資料を送っていただいて活用させてもらいました。
しかし、有料ボランティアはあくまでも「ボランティア」ですし、ホームヘルパーや介護福祉士ではありませんから高度な身体介護は対応できません。
本人や家族の代わりに簡単な掃除や洗濯、食事の準備、買い物、通院の付き添いなどを代行する程度です。
料金的にはプロの家事代行の半額、もっと安いところでは1時間500円と格安です。
しかし、お願いする内容によって「安物買いの銭失い」で結局はプロの家事代行業者に依頼することになったこともあるので、上手な使い分けが節約につながります。
買い物はネットスーパー
例えば、都市部なら買い物はネットスーパーを活用できます。
洗濯も住環境によって変わりますが、複数の段差などがなければ知恵を使うことで対応できます。
掃除は月2回の家事代行サービス
でも、「掃除」については各週1回2時間/月2回、プロの家事代行を定期契約しています。
簡単に掃除機やモップ掛けはできても「拭き掃除」は健康なころのように汚れを落とせないので、お願いしています。
やっぱり、片付いてきれいな部屋の方が気持ち的にも違いますからね。
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