障害者手帳を種類について調べる人の多くは申請するためというよりも障害者手帳とは、どんなものなのか?
どんな障がいの人が持ち、どれだけの人に交付されているなど、客観的な概要などを知りたいケースが多いのではないでしょうか。
こちらでは障害者手帳の概要と種類から交付数、対象となる障害の種類、代表的な支援内容などをご案内しています。
障害者手帳の概要
障害者手帳は申請に必要な書類と医師の診断書を自治体に提出し、その情報を基に審査され、障害の程度に相当する等級を付与し障害認定、交付されるものです。
承認者
都道府県知事、政令指定都市や中核都市では市長が承認します。
交付されないことも
身体障害者福祉法や精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で定められた、条件・定義、基準に満たない場合には交付されません。
障がい者は障害認定された人
障害者手帳を交付されていない人を「障がい者」とはいいません。
正確には障害者手帳を交付された、または障害年金の受給資格を得ている人のことを「障がい者」と定義します。
法律上の人格権「障がい者」
法令に基づいて自治体が認定しなければ、障がい者という権利を与えられないということになります。
障害者手帳の種類
障害者手帳は「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」と「療育手帳」の3つ種類があります。
カード化
「身体障害者手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」のカード化に関する省令案が厚生労働省の社会保障審議会の障害者部会で示されました。
保険証のカード化やマイナンバー制度の導入で必要な情報を効率的に自治体が取得できるインフラなどの環境が整いつつあることから着手に踏み切ったようです。
障害者手帳をカード交付するかどうかは自治体の判断になる。また申請者が希望する場合は「カードでの交付も可能とする」方向性です。
施行は2019年4月1日ですが、自治体によって対応の有無がことなります。
それぞれの手帳は何が違うのでしょうか?
身体障害者手帳
交付数
厚生労働省のまとめた平成29年度福祉行政報告(2017年度)の統計では5107524と障害者手帳のなかでもっとも多く交付されています。
特徴・どんな手帳?
身体障害者手帳は病気やケガ、事故をきっかけに腕や足の欠損、脊髄損傷で半身・全身の不随、歩行困難などの身体的なものと、ペースメーカやストマ装着など内部疾患の障害に対して交付されます。
東京パラリンピックで活躍が期待される若い選手たちのなかにも多くの身体障害者がいますが、実は18歳~65歳未満に人口は3割しかいません。
あとの7割は65歳以上の高齢者。
医療の進歩から高齢の身体障がい者の割合が近年増大の傾向にあります。
身体的な障害、不自由さがあればどんなものでも対象になるのでしょうか?
対象になる身体障害の種類
- 視覚障害
- 聴覚または平衡機能の障害
- 音声、言語機能またはそしゃく機能
- 肢体不自由
- 心臓、じん臓または呼吸器の機能
- ぼうこうまたは直腸の機能の障害
- 小腸の機能の障害
- ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
- 肝臓の機能の障害
精神障害者手帳
交付数
厚労省のまとめた平成29年度衛生行政報告(2017年度)の統計では991816と約100万人に交付されている。
特徴
ストレスの多い現代を象徴するように会社では中堅、働き盛りの30~40代で新規申請する人が近年増えている。
保有率も全年代のなかで最も多く、60代以降、退職を迎えた年代ほど少ない。
精神障害者手帳と省略しましたが、正しくは「精神障害者保健福祉手帳」です。
身体障害は身体障害者福祉法に基づくものですが、精神の場合は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基きます。
対象になる精神障害の種類
- 統合失調症
- 気分障害
- 非定型精神病
- てんかん
- 急性中毒精神病
- 器質性精神障害
- 発達障害
- その他の精神疾患
療育手帳
交付数
療育手帳は知的障がい者や知的障がい児に交付されるもので交付数は平成29年度の厚労省統計で1044573、100万人を突破している。
身体、精神の手帳は法律に基づくもので交付に関する条件や障害の種類、内容など厚生労働省が基準を作成しました。
しかし、療育手帳は法令がないため自治体が障害の程度を独自で設定し制度の運用をしている。
そのため、都道府県によって障害の区分などに違いがあり、その名称もさまざまです。
等級(障害の程度)
指定医という身体・精神に関する法律で定められた医師の診査した診断書・意見書を基に自治体の判定で等級(程度)が決まります。
身体障害の場合
等級は重度側から1~6級まであります。
精神障害の場合
1~3級まで。
療育手帳の場合
自治体ごとに異なり、さまざまですが最小2等級、最大5等級のところもあります。
知的障害の判定は指定医ではなく、18歳以上は「知的障害者更生相談所」18歳未満は「児童相談所」で実施されます。
等級判定の基準については「障害者手帳の等級判定と福祉サービス利用時の障害支援区分」を読んでもらうと理解が深まると思います。
障害者手帳が必要な支援・サービス
福祉サービス・助成 | ||
---|---|---|
ホームヘルパーの派遣 | ごみ捨ての支援 | ショートステイ |
病院等での療養介護 | 視覚障害者の同行援護 | 障害者雇用の就労支援 |
駐車禁止除外の交付 | 医療費(更生医療)の助成 | 税金の控除・減免 |
障害者手当 | NHK受信料の一部または全額免除 | タクシー券の支給 |
リフォーム工事費の助成 |
代表的な障害者割引 | ||
---|---|---|
税金の控除・減免 | NHK受信料 | 車いす等福祉用具・補装具 |
JR・私鉄の運賃 | バス運賃 | 航空運賃 |
タクシー料金 | 高速等の通行料 | スマホ・携帯電話料 |
基本的な手続きの仕方
診断書・意見書
写真2枚
印鑑
これらを福祉事務所に提出し、審査の上で承認されたら障害者手帳が交付されます。
マイナンバーの記載
2016年以降、障害者手帳の申請時にマイナンバーを書くようになりました。
これは障害者手帳の照会が必要な申請があったときにスムーズな回答を実現するため関係機関が参照できるようする目的です。
また、「身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳」の使用状況、更新履歴など情報連携に向けて活用する目的もあります。
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